「カルバペネム」は、現在のところ最強の抗生物質とされています。
カルバペネム系抗生物質は、多くの細菌に対して効果があり、広域であるという点が最大の特徴です。
しかし、カルバペネムでは効果がない細菌がアメリカの医療機関で広がっているというニュースがありましたね。
それは「カルバペネム耐性腸内細菌」と呼ばれています。
カルバペネム耐性腸内細菌とは、最強の抗生物質では効果がない細菌です。
つまり、現在開発されている抗生物質では殺菌できない細菌という事になります。
実は、抗生物質はすべての細菌を完全に殺すことはできません。
例えばインフルエンザで病院に行くと抗生物質を処方されると思います。
それで、抗生物質を飲めば体内のすべてのインフルエンザ菌を殺すことができるのかといえばそう言うわけではないのです。
抗生物質に対して強い菌は生き残ってしまうわけですね。
その強い菌が繁殖してしまうと、抗生物質では効果がない菌で感染する人が増える、という事になるわけですね。
ですから、最強の抗生物質と言われているカルバペネムでも、すべての菌を殺すわけではありません。
カルバペネムに対して強い菌が生き残り、繁殖した結果、その強い菌(カルバペネム耐性腸内細菌)の感染者が増える、という事になるわけですね。
つまり、カルバペネム耐性腸内細菌を殺菌する抗生物質が開発されたとしても、その抗生物質ですべてのカルバペネム耐性腸内細菌を殺せるわけではありません。
数%の菌が生き残るわけです。
その生き残った菌が繁殖したら、また、抗生物質では殺菌できない菌の感染が広がる、という事になります。
結局は抗生物質はいたちごっこになってしまう、という事になるわけですね。
では、細菌に感染しないよう対策を打つことはできないのでしょうか?
とりあえず、今回のカルバペネム耐性腸内細菌に対しては、感染が広がっているのはアメリカで、日本では感染者が発見されていない、という事です。
また、日本では感染が広がりにくい菌だという事ですので、日本にいれば心配する必要はないのではないか、と思います。
しかし、アメリカに行く場合は注意が必要です。
どの地域でカルバペネム耐性腸内細菌が発生しているのか、よく調べておいたほうがいいでしょう。
また、普段から菌に対して強い体を作っておく必要があります。
抗生物質を飲む機会の多いと、人間の体が本来持っている免疫力(菌を体内に入れず、入ってきた菌を殺す力)が弱くなります。
そうなると菌に感染しやすくなります。
そうならないためにも、なるべく抗生物質を飲まないようにしないといけませんね。
風邪の時は、抗生物質を飲まず免疫力だけで治すようにしたほうがいいでしょう。
また、普段から免疫力を高くする栄養(ビタミンA・C・Eなど)をたくさん摂取するようにしたり、適度な運動をしたりして免疫力を高めるようにすることも大切ですね。